医学物理士とは
医学物理士とは、放射線医学における物理的および技術的課題の解決に先導的役割を担う者で、医学物理士認定機構が実施する医学物理士認定試験および認定審査に合格した者です。
国際労働機関(ILO)の国際標準職業分類 ISCO-08 における「物理学に関連する科学的知識を医療の分野に応用する職業」Medical Physicistに相当します。医学物理士の業務には、①医療、②研究開発、③教育があり、以下の分野で健康に寄与しています。
- 放射線治療物理学分野:エックス線や粒子線を利用してがんを治療する放射線治療における装置開発、物理的品質管理などを通して副作用を抑え、がんを効果的に制御します。主として放射線治療計画の最適化と検証などを行っています。
- 放射線診断物理学分野:病気の診断をするための画像診断装置の開発、画質向上、被ばく線量と画質の管理などを行います。
- 核医学物理学分野:放射線同位元素を使って病気の診断や治療をするための装置の開発、画質向上、被ばく線量と画質の管理などを行います。
- 放射線防護・安全管理学分野:放射線の害を最小限に抑えます。
医学物理士認定試験受験資格、認定審査資格を得るためには大学院での医学物理教育プログラムを修了し、一定期間の臨床研修を受ける必要があります。
(JBMP 一般財団法人 医学物理士認定機構より引用)
医学物理士の業務
臨床業務
- 物理工学的学識をもとに⾼精度放射線治療の治療計画を⽴案し、検証と精度管理を⾏います。
- 治療線量の管理と校正を⾏います。放射線治療では診断と⽐較し非常に⾼い線量を照射しますので特に重要な業務です。
- 治療装置導⼊時の受け⼊れ試験や保守管理の計画、日常の品質管理を⾏います。
- 医師や診療放射線技師への物理的⾒地からの助⾔を⾏います。
研究開発
重粒子線治療装置を持つ日本で唯一の大学として、重粒子線の特徴を活かした様々な研究を行っています。
照射の精度の向上のための新たな照射法の開発や安定した加速ビームを提供するための加速器科学の研究が行われています。また、生物グループでは重粒子線とX線を用いて、分割照射による細胞・組織の放射線応答を調べています。
詳細は研究紹介をご参照ください。
教育
本研究室では医学物理・放射線生物に関する大学院教育を行っております。修士課程は医学物理士の育成を目的としたJBMPが定めた認定医学物理教育コースとして認定されています。また、物理グループの博士課程では重粒子線治療の発展を目的とした装置開発が行える物理学者の育成、ならびに生物グループでは放射線生物学の奥深さを共に味わうことができる放射線生物学者の育成を目指しています。
詳細は学生要項をご参照ください。