よくある質問
1.重粒子線治療について
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Q1-1
重粒子線治療とはどんな治療ですか?
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A.
放射線治療の中で、ヘリウムイオンより重い粒子線を体に照射してがんを治療するものを重粒子線治療と言います。 群馬大学を含め、現在治療を行っている施設では全て炭素イオンを用いるので、炭素イオン線治療とも言います。
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Q1-2
X線治療との違いはなんですか?
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A.
大きく分けて2つの特徴があります。 ひとつは、がんに当てる放射線量の集中性です。通常のエックス線やガンマ線の放射線では、体の外から放射線を当てて、体の表面から数センチのところで放射線の量が一番強くなり、 その後は深さとともに減少していきます。これに対して、重粒子線や陽子線などの粒子線は、体の表面の放射線の量が少なく、粒子が停止する直前で最大になるという性質を利用して、 正常な組織に当たる放射線の量を少なくできるという特徴があります。 二つ目は、がんに対する効果の違いです。重粒子線は、がんを死滅させる効果が優れているため、通常の放射線治療に抵抗性であるがんにも有効となる可能性が高いという特徴があります。
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Q1-3
陽子線との違いは何ですか?
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A.
重粒子線も陽子線もがんに対する放射線量の集中性がありますが、重粒子線の方が陽子線よりがんを死滅させる効果が高いという特徴を持っています。そのため、重粒子線治療は陽子線治療よりも短い期間で治療を終えることができます。
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Q1-4
治療期間はどのくらいかかりますか?
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A.
治療の期間は、それぞれのがんによって異なりますが、がんに対して致死効果の高い放射線を集中して投与することが出来るため、1回あたりの放射線の量を高くしてその分照射回数を減らすことが可能です。 群馬大学では4回~16回(1週間から1ヶ月程度)の治療を行っています。 一般の放射線治療(6-7週間)に比べて格段に短くなっています。このことは、患者さんにとっては社会復帰が早期に可能であり、治療施設にとっては多くの患者さんの治療が行えるという利点につながります。
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Q1-5
入院は必要ですか?
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A.
本来、重粒子線治療では体への負担が軽く、外来通院でも行うことが出来ます。 家庭や仕事への影響を少なくできる、Quality of life (生活の質)の高い治療法であると言えます。群馬大学では、治療内容や病気によっては、入院での治療をお願いする場合があります。通院治療も行っています。
前立腺がんの治療は原則外来通院で行っています。また、直腸がんの術後再発、骨軟部腫瘍、肺癌、肝臓癌などの治療は病状等により通院治療も可能です。 抗がん剤併用の頭頸部・膵臓・子宮癌の治療に関しては、基本的には入院で行っています。 -
Q1-6
重粒子線が当たっているのは自分でわかりますか?
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A.
重粒子線に限らず、X線などの放射線が体に当たっても痛みや熱さなどを感じることはありません。 そのため、治療中に重粒子線が当たっていることを感じることはありません。
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Q1-7
治療が終わればがんは消えているのですか?
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A.
治療が終わった時点で、がんがなくなっているということはほとんどありません。 がんの種類にもよりますが重粒子線によってダメージを負ったがんは時間をかけて徐々に縮小していきます。そのため治療後は定期的な経過観察を行います。
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Q1-8
副作用(治療に対する有害反応)の心配はありますか?
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A.
重粒子線治療では、がんを含む限られた範囲に必要な量だけ照射することができるため、一般の放射線治療に比べ、かなり副作用は軽くなっています。 ただ、副作用が全くないとはいえません。がんの部位、照射の方向、投与する照射量によって副作用の症状は異なります。 また同じ様な治療計画でも、副作用の現れ方には個人差があることも判ってきました。このようなことをふまえ、治療を決める前のインフォームドコンセントでは、 医師から起こりうる副作用や副作用が起こった場合の対処法などについて詳しく書面で説明し、患者さんによく理解していただくようにしています。
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Q1-9
一回の照射にはどのくらい時間がかかりますか?
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A.
1回の治療で、実際に照射を行う時間は数分間以内が多いです。ただし、正確にがんに重粒子線を照射するためには、照射前の位置合わせに多少の時間がかかり、この間患者さんは治療ベッド上で動かないでいる必要があります。 治療する部位にもよりますが、治療室に入ってから出るまでの時間は約30~60分です。肺癌、肝臓癌、骨軟部腫瘍、膵臓癌の一部など、呼吸に合わせた治療を行う場合には、時間が比較的長くかかります。
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Q1-10
治療の際に気をつけなければいけないことはありますか?
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A.
治療中に動いてしまうと正確に照射が行えず、重粒子線ががんに当たらなくなってしまう可能性があります。 治療時の患者さんの動きを可能な限り小さくするために、照射の際は患者さんと治療台を固定する固定具を装着します。 固定具を装着することで治療中の患者さんの動きを小さくすることは可能ですが、全く動けないという事はありません。もし体調に変化などがあった場合には、呼び出しボタンでスタッフに伝えることができますのでご安心ください。
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Q1-11
群馬大学の他に現在重粒子線治療を行っている施設はどこですか?
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A.
日本では、現在、量子科学技術研究開発機構 QST病院(旧 放射線医学総合研究所病院)、兵庫県立粒子線医療センター、九州国際重粒子線がん治療センター、神奈川県立がんセンター、大阪重粒子線センター、山形大学医学部東日本重粒子センターで治療を行っています。
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Q1-12
過去に同じ場所に照射をしたことがあっても重粒子線治療を受けられますか?
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A.
治療を行う部位と同じ部位に放射線治療をした場合には、再度重粒子線治療を行うことが難しい場合がほとんどです。重粒子線治療適応の可否につきましては専門医が慎重に判断致します。
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Q1-13
治療中も食事や運動、仕事などの日常生活は普段通り行えますか?
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A.
多くの場合では日常生活に影響はありませんが、治療する箇所と疾患の状態によっては副作用の影響が出る場合があります。 また、体内の状態を治療計画時と同じに保つため、治療前の一定時間食事を行わないなどの処置をお願いする場合があります。 想定される副作用および必要な処置に関しては、治療が始まる前に患者さんごとにご説明致します。
2.群馬大学の重粒子線治療に関すること
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Q2-1
群馬大学ではいつから重粒子線治療を始めたのですか?
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A.
平成22(2010)年の3月から治療を開始しました。
これまでの治療人数についてはトップページまたは重粒子線治療人数のページをご覧ください。 -
Q2-2
どんな疾患の治療を行っていますか?
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A.
重粒子線治療の適応となる疾患のページをご覧ください。
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Q2-3
受診するにはどうしたらよいですか?(紹介状を持っていない場合)
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A.
主治医に「群馬大学の重粒子線治療を受けたい」「話を聞きに行ってみたい」とお話しいただき,紹介状を準備してもらってください。
受診は完全予約制となります。予約は群馬大学医学部附属病院の患者支援センター(地域連携担当)で受け付けています。患者さんやご家族からの予約申込みは受けていません。
医療機関とやり取りをいたしますので,通院されている病院の地域連携担当の方や,事務,看護師の方などにお願いしてください。
医療機関で群馬大学医学部附属病院のHPから「重粒子線治療のご案内」を選択し、医療従事者用のページから初診予約申込書をダウンロードし、手順にそって申し込みいただけるように説明が載っています。 わからない場合は、医療機関から患者支援センター(地域連携担当)にお問い合わせをお願いいたします。(027-220-7733)
受診の際には、医師からの紹介状と初診予約票のほかに、紹介元の病院で撮影した画像の検査資料をお持ちください。紹介元で組織を採取する検査(生検)を行った場合には、プレパラート(標本)もお持ちください。
詳しくは、受診を希望される方へのページをご覧ください。 -
Q2-4
受診するにはどうしたらよいですか?(紹介状を持っている場合)
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A.
紹介状と初診予約票がある場合は当日指定時刻に中央受付(⑦番窓口)にお越しください。初診予約がされていない場合は,上記2-3の手順にそって申し込みをお願い致します。 その他紹介状について不明な点がございましたら患者支援センター(地域連携担当)に問い合わせてください(027-220-7733)。 受診の際には、医師からの紹介状と初診予約票のほかに、紹介元の病院で撮影した画像の検査資料をお持ちください。紹介元で組織を採取する検査(生検)を行った場合には、プレパラート(標本)もお持ちください。
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Q2-5
重粒子線治療ではセカンドオピニオンは受け付けていますか?
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A.
重粒子線治療は、診察を受けていただき専門医による総合的な判断を行った上で適応の可否を判断します。当院の重粒子線治療の適応判断を目的とする場合、原則としてセカンドオピニオンとしての取り扱いは致しません。 受診を希望される方は、初診の予約を取得して受診してください。
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Q2-6
治療をするには数ヶ月待たないとできないと言われましたが、本当ですか?
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A.
初診予約までの期間については当サイトのトップページでご確認いただけます。長くても数週間で初診予約が可能な場合が多くなっています。
初診後は、可能な限り速やかに治療準備を進めていきますが、病気の状態や必要な検査や治療を先に行って頂く場合があります。その際は主治医より説明をさせていただきます。 例えば、前立腺癌の治療の場合には、重粒子線治療の前に半年ほどホルモン療法を行うことが有ります。これは、重粒子線治療とホルモン療法の両方の治療をすでに開始していることになり、病気を放置しているわけではありませんのでご安心ください。 -
Q2-7
重粒子線治療の群馬大学の特徴はなんですか?
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A.
群馬大学の重粒子線治療施設は大学病院の併設施設です。大学病院の特徴を活かし、他の診療科と密な連携を取ることができます。
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Q2-8
群馬大学の施設は、先進医療を行う施設として認定されていますか?
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A.
平成22(2010)年の6月1日から先進医療として治療を行っています。厚生労働省の定める施設基準などの基準を満たしています。
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Q2-9
治療終了後の検査の際は群馬大学附属病院に来ないといけませんか?
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A.
経過観察につきましては基本的には当院で行わせていただきますが、紹介元の病院とも連携をとりながら行っていきます。詳細については担当医にご相談ください。
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Q2-10
海外在住の患者の治療は行っていますか?
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A.
2013年から海外からの患者の受け入れを行っています。ただし、来日に関する手配のため、必ず仲介業者を通してお申し込みいただきます。詳細はOverseas Patientsのページ(英語、各国語版あり)をご覧ください。
3.治療費に関すること
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Q3-1
先進医療で行う場合、治療にはどのくらいの費用がかかりますか?
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A.
先進医療では重粒子線治療は先進医療費として314万円かかります。また、それに加えて保険診療の対象となる入院費やCTやMRIなどの検査費、薬代などがかかります。 こちらは通常の保険診療であり、1割から3割の負担で、高額療養費制度も適用されます。 これらの保険診療にかかる費用に関しては、おおよその目安で検査等による個人差はありますが、 前立腺癌で3割負担の場合には、通院では約1万円程度です。それ以外の疾患では、入院治療の場合には約20万円程度かかります。 ※疾患や行う検査により差があるので、あくまでも目安としてお考えください。
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Q3-2
民間の保険で先進医療特約に加入しています。手続きはどのようにおこなったらよいでしょうか。
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A.
各保険会社で手続きが異なりますので、加入している保険会社にお問い合わせください。 当院と先進医療費を保険会社から直接支払うことについて提携をしている会社もありますので適宜加入している保険会社にご確認ください。
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Q3-3
先進医療費の支払いはどのように行うのでしょうか。
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A.
重粒子線治療の1回目の照射を行った翌日に、先進医療費の請求書を発行します。請求書が手元に届いてから10日(土日休日は除く)以内に支払いをしていただきます。方法は、銀行振り込みか、会計窓口での現金またはクレジットカードによる支払いとなります。
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Q3-4
保険診療で行う場合、治療にはどのくらいの費用がかかりますか?
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A.
保険診療による重粒子線治療の場合は、重粒子線治療の医療費についても通常の医療と同様に、自己負担割合に応じて1-3割の自己負担が必要となります。 詳しくは治療費のページをご覧ください。
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Q3-5
保険診療の場合の支払い手続きはどのように行うのでしょうか?
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A.
保険診療の場合には、入院中は1ヶ月ごとの請求になります。通院の場合には治療の最終日までにお支払いいただきます。
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Q3-6
民間の保険で先進医療特約に加入しています。公的医療保険が適用されると言われましたが、民間保険の先進医療特約を使用することはできますか?
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A.
公的医療保険が適用される疾患は先進医療では行っていないので、先進医療特約を使用することはできません。
4.治療の適応について
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Q4-1
先進医療の重粒子線治療が適応となる疾患は何ですか?
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A.
保険診療で扱われる疾患を除き、日本放射線腫瘍学会で統一治療方針が定められている疾患が適応となります。
詳細は日本放射線腫瘍学会 粒子線治療の疾患別統一治療方針のページをご覧ください。 -
Q4-2
保険適応の重粒子線治療が適応となる疾患は何ですか?
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A.
保険診療に関するページをご覧ください。